木もれびコラム
心房細動 治療偏
心房細動の治療について
心房細動の治療は、ガイドラインによると5つのステップに分けて行うのが基本とされています。ここでは、その流れをわかりやすく説明します。
ステップ1:脈を落ち着かせる
心房細動が起きた直後は、脈がとても速くなることがあります(1分間に150〜200回)。このときは、脈をゆっくりにする薬や、正常なリズム(洞調律)に戻す治療を行います。
この「元の正常なリズムに戻すこと」を除細動といいます。
ステップ2:原因や生活習慣を見直す
心房細動の背景には、高血圧・糖尿病・肥満・心臓の病気などがあることが多いです。そうした原因を調べて、生活習慣や病気の評価、コントロールを行います。
ステップ3:脳梗塞の予防
心房細動は、脳梗塞の原因となります。そのリスクを評価して、脳梗塞のリスクが高い場合は血液をサラサラにする薬を使い、脳梗塞を防ぎます。
ステップ4:心拍数をコントロールする
心房細動が続いている人は、無理にリズムを元に戻すよりも、脈が早くなりすぎないように薬でコントロールします。これにより、症状を軽くしたり、心臓への負担を減らし、働きを守ります。
ステップ5:症状に応じた治療を選ぶ
心房細動の症状の程度に応じて、より積極的な治療を検討します。たとえば、
- 薬でリズムを整える
- 電気ショックで元のリズムに戻す
- カテーテルアブレーション(心房細動の原因部分を焼く治療)
- 手術
などがあります。
カテーテルアブレーションって?
これは、足の血管から細い管(カテーテル)を心臓まで入れ、心房細動の原因となる心房筋の場所をピンポイントで焼いて、不整脈を起こさないようにする治療です。
最近では、心不全を合併している場合や、何度も再発する発作性心房細動、症状がないけれどリスクが高い人に効果があることがわかってきています。
さらに、2024年の日本循環器学科/日本不整脈心電学会合同ガイドラインフォーカスアップデート版では、カテーテルアブレーションの位置づけは、症候性再発性の発作性心房細動では、第一選択治療、無症候性再発性の発作性心房細動でCHA2DS2-VASCスコア≧3点の場合には考慮するとなっています。