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「高血圧」と言われたら

「高血圧」と言われたら

日本では約4,300万人の方が高血圧と推定されており、年齢とともにその割合は高くなります。特に、50代以上の男性や60代以上の女性では、2人に1人が高血圧といわれています。

最近では国民全体の塩分摂取量は減ってきていますが、肥満とともに高血圧になる人が増えており、特に男性に多く見られます。

血圧の仕組みとは?

血圧は、心臓が全身に血液を送るときに血管にかかる圧力です。よく「上の血圧」「下の血圧」と言いますが、

  • 上の血圧(収縮期血圧・SBP) は、心臓がギュッと収縮して血液を押し出すときの圧力
  • 下の血圧(拡張期血圧・DBP) は、心臓が休んでいるときの圧力

この血圧は「オームの法則」という理科で習った法則にたとえることができます。

血圧 = 心臓が送る血液の量(心拍出量) × 血管の硬さや細さ(末梢血管抵抗)
という関係があります。血圧が適正であることによって、全身の臓器にしっかり血液が届き、体の機能が正常に保たれるのです。

血圧の値は変わりやすい

血圧は一日の中でも変動しまし、季節によっても変わります。例えば、以下のような要因で日々変動するとされています。

  • 緊張・不安・興奮などの精神的な状態
  • 睡眠不足や疲れ
  • 運動、体重の変化
  • 気温や湿度などの環境
  • 食事内容や痛み など
  • 飲酒

そのため、1回の測定値だけで「高血圧」と判断するのではなく、継続的に血圧を測りながら評価することが大切です。

健康診断で「血圧が高い」と言われたら?

健診などで「高血圧の疑い」と言われた場合は、医療機関で再度しっかりと測定・診断することが必要です。診断基準としては、

  • 診察室血圧:140/90mmHg以上
  • 家庭血圧:135/85mmHg以上
    が目安とされています。

なお、病院でだけ血圧が高くなる「白衣高血圧」もありますので、ご自宅での血圧測定がとても重要です。特に治療効果を判断する際には、家庭での血圧の方が参考になります。

高血圧による臓器への影響の評価

高血圧の診断や治療では、「臓器にどのような影響が出ているか」を評価することも大切です。というのも、自覚症状がない場合でも、すでに臓器にダメージが及んでいることがあり、そのようなケースでは、より注意深い経過観察や積極的な治療が必要になるからです。具体的には、心電図や血液検査、尿検査、頸動脈エコーなどを行い、心臓や腎臓の機能、動脈硬化の程度などを確認します。こうした検査によって、高血圧による臓器障害の有無や進行具合を把握し、最適な治療方針を立てていくことが重要です。

血圧が高いと何がいけないの?

日本の研究では、血圧が120/80mmHgを超えると、心臓や脳、腎臓の病気のリスクが高くなることが報告されています。高血圧を放っておくと、脳梗塞や心筋梗塞、慢性腎臓病など、命に関わる病気につながるおそれがあります。

高血圧の治療について

高血圧の治療では、まず生活習慣の改善が基本です。

  • 減塩
  • 食事の見直し
  • 適度な運動
  • 節酒(お酒を控えること)
    などを行い、必要に応じて薬物治療を行います。

75歳未満で他に大きな病気(脳血管障害など)がない場合は、まず生活習慣の改善から始め、1~3か月後に再評価します。そのうえで、

  • 通常の人は 診察時血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満
  • 脳卒中の既往がある人は診察時血圧 140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満を目標にします。

※年齢や、糖尿病、腎臓病、脳梗塞や心筋梗塞の既往の有無で異なりますので注意が必要です。


おわりに

ご自宅での血圧測定も含め、継続した健康管理が大切です。

血圧の測り方や生活習慣の改善方法など、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。